Opening
映画は19世紀に誕生した比較的新しい芸術である。
かのトーマス・エジソンが開発したキネトスコープは、箱の中を覗き込む形で映画を鑑賞する形であった。その後、フランスのリミュエール兄弟によってシネマトグラフが開発され、映画は初めてスクリーンに投影されて鑑賞するという現代に繋がるスタイルを獲得した。
1895年、リミュエール兄弟はパリのグラン・カフェにて世界で初めてとされる映画の有料公開を開催する。そこで人々に写し出されたのは、工場の出口から人々が出てくるだけの映像、そして駅に入ってくる汽車の映像であった。特に後者の方に関しては、カメラの方、つまり観客の方に向かって迫ってくる汽車を見て、観客はこちらに汽車が突っ込んできていると思い、大騒ぎしたという逸話が残っている。
映画の始まりはそのような驚きをもってスタートしたと言っても過言ではない。エジソンやリミュエール兄弟、ジョルジュ・メリエスなどの映画黎明期の意志は今日まで受け継がれてきていると思う。
このブログでは新作はもちろん、いわゆる名作と言われるような作品まで幅広く紹介していければいいなと思っている。
映画好きな人って世の中にたくさんいて、それはすごく嬉しいことである。
数多ある芸術の中でも総合芸術と呼ばれる映画は、ある種崇高な扱いをされているように思う。
しかし、それはあくまでも欧米などの海外での話。国立大学に映画学科があったり、国立の映画学校があったりするのはやはり映画がそれだけ文化として浸透している証拠ではないか。
しかし、日本の現状を見るとどうもそうはなっていない。それがすごく残念でならない。
もちろん日本映画にも素晴らしい作品は数多くあるが、海外の映画祭などで受賞するのは何年かに一度というペース。国内にはそれがきっかけで知られるというのがここ最近の流れ。
今年度の米アカデミー賞で韓国映画『パラサイト』が監督賞、作品賞を受賞したのは記憶に新しい。90年の歴史上、アメリカ映画、英語圏の映画以外の作品が作品賞を受賞したのはこれが初めてのことであった。これは政府の後押しを受け、ハリウッドの制作環境をそのまま導入したことによって実現した快挙なのである。
日本も確かに文化庁が中心になって映画制作に協力していこうという動きがあるにはある。
しかし、まだまだ足りない。国家的な後押しが全てではないが、まずはどれだけお金をかけらる環境があるかどうかだろう。もっともっと日本でも映画が崇高な扱いをされ、漫画原作だけに頼るような興行の状態を抜け出せるくらいリテラシーというか、映画の本当の素晴らしさを知ってほしい。
それがこのブログ発起の理由でもある。
でもまあ、大学の論文のようなお堅いことを書き連ねてもそんなに需要はないと思うし、ブログという媒体ともマッチしないように思うので、なるべくゆる〜い感じで思ったことを書いていこうと思う。